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2009年06月17日

台風一〇号接近 警備発令

 五七年八月一日正午発表の”台風情報”

ame "大型で強い勢力を持つ台風10号は、12時00分現在、北緯29度55分、東経136度55分、紀伊半島の南約350kmの海上にあって毎時20kmの速さで北に進んでいます。・・・河川の増水や山崩れ等の注意が必要です。"

14時30分、連続雨量70mmに達した、川上支区が第三警備を発令、日曜日のため各検査班は1名出勤しているのみであるので、その他に1~2名ずつの検査班職員を呼び出し、重点箇所のスポット巡回を開始。雨はさらに激しくなる。

 22時00分、中込支区においても、三種警備を発令。

takuma1補足説明:警備とは

第一種から第三種までがありますが、第三種は比較的軽い警備、第一種が最も重い警備です。
 たとえば台風接近が予測される場合、それほどの大きさでなく、被害もそれほど想定されないときは、保線区に連絡要員を配置する程度の場合は「第三種」、台風が大型で本土直撃で只今接近中のような場合は「第一種」で保線区全員を呼び出し、警戒態勢を整えることを言う。
  これら災害警備については、どんな時にどうするか?ということが各保線区ごとに「災害警備規程」などに規定化されており、その時々のケースバイケースにより保線区長が第一種から第三種までの発令を行う。


台風10号は、8月2日○時○分、渥美半島に上陸、そのまま中部地方を横断北上し、明け方、日本海に抜ける。台風接近に伴い、雨はますます激しくなり、時には時雨量10数?、最終的な連続降雨量は、川上支区(甲斐小泉)で156mmが最も多く、他支区では中込(小海)99mm、小諸(御代田)121mm、上田(大屋)53mであった。

 支区員全員による第一種警備発令は川上市区1日2時30分、中込市区3時00分に、又、 信越線、小諸、上田支区は三時三〇分第三種警備を発令した。

 台風の通過を待って、体制の整った所から巡回を開始。現地からの第一報は川上の軌道検査長から
 「信濃川上~佐久広瀬間31k730m付近で土砂崩壊が発生、列車抑止する。二次災害のおそれがあり、明るくなり次第調査する。」と。小海線では続いて、次から次へ、出るわ出るわ、線路冠水、護岸欠壊、風倒木、築堤崩壊等々。
さらには「小海構内で築堤が崩壊し、場内信号機が濁流に流されてしまった。」と、宿舎に住んでいる我が区の職員。さらに、一信濃川上~佐久広瀬間の第二千曲川橋りょうが大きく変状し、レールがアメのように曲っている。」
と、国鉄OBからの連絡が入る。

 巡回している職員も被害箇所から先へ進むことができず、まだ他にどれだけ被害箇所があるのか、又、いつもは、桁下七~八mもある橋りょうの橋けたに、直接水がぶつかる程の増水では、果して橋脚がとれ程洗掘されているかの見当もつかず、そのうえ電話回線がうまく通じないためか現地からの情報がなかなか保線区に入らず、いらいらのしどおし。被害の全容がつかめたのは、ようやくその日の午後であった。

 信越線は小諸・上田支区とも午前六時三五分、巡回完了、全区間異常なし。昨夜二二時二一分から全列車の運転を見合わせており、今朝から運転の予定であったが、他区管内でまだ解除にならず、当分の間運転抑止中。運転再開は昼すぎであった。

線路破壊1

 小海線は、河川の減水、風倒木の除去等により、小諸~小海間が午前一一時○○分に開通したが、小海以遠の開通のメドは全く立たず、後の調査では、小海線と千曲川が交差する七つの橋りょうのうち、橋りょうのすぐ下流にダムのある第一と昨年改良した第四千曲川橋りょうのみが被害を受けなかっただけで、残り五つの橋りょうは、河床の洗掘等の被害を受け、中でも第二千曲川橋りょうは、橋台と橋脚が大きく傾斜し、橋けたが落ちる寸前、橋台裏約三〇m間の盛土が流失し線路がハシゴ状態となる大被害。他にも一〇数箇所の被害を受けたことが判明した。

線路破壊2

 被害箇所が把握できたところから応急体制に入り、直轄、外注業者に総動員をかけるが、なんせ被害が大きく、被害箇所が多すぎる。
どの箇所が最大のネックになるのか、いつ開通できるかは全く見当もつかないような状態。

『まず、最低一ヶ月はダメだな』というのが、衆目の見るところであった。

 局から現地対策本部へ応援部隊が到着。夜を徹して、応急工法の検討、施工業者の割り振り等を行う。

 一方、明日三日は他保線区のレール更換に作業グループが助動に行く予定になっていたため"災害が発生しているのに、白支区の災害応急もやらずに他区へ助動に行くのか?" "列車が動かないのでアシはどうするのか?"等でゴタゴタ。災害応急工事は大規模な土木工事が主体であり、外注にならざるを得ず、また途中までマイクロバスで送り迎えするということで、ようやく助動に行っていただくことになった。



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著者:粕渕輝雄