2003年08月05日
論文 2.ポイント清掃作業で、運転事故が発生
当社ではポイント(分岐器)清掃の作業を受託しているが、ある構内で傷害事故防止用の『カマシ木』が抜けなくなり、列車を約30分も遅延させるという運転事故が発生した。過去にポイントに手を挟まれる事故があってから「作業中には必ず『カマシ木』を使うよう」指導されて来ているが、現場からの事故第一報では「作業が終了していないのに、ポイントが転換されたため、撤去するいとまがありませんでした!」とのこと。万一ポイントが転換された場合でも、手を挟まれないための『ハサミ木』であることはいうまでもないが、“作業中に突然ポイントが転換される”のでは、危なくて仕事ができるはずがない。“怪我が無くて良かったものの、何か変だなあ?”と思いつつ「実態を良く調べるように!」と指示をする。その後現場を良く調べて見ると、いろいろな実態が見えて来た。「作業中にポイントが転換されることがあるか?」が最も重要なところであり、当社社員に聞き取り調査をすると、当然誰もが「そんなことはありえない」と答えたが、実態は「作業が終了しなくても、ポイントが転換されることがあった」のである。当該駅ではポイント清掃作業の列車間合い中となっていても、実はその間合い終了時刻の何分か前、すなわち「隣の駅を列車が出発する時刻」になるとポイントは転換されていたが、今まで列車間合いの時間全部を使わず、間合いの途中で早めに作業が終了していたため、『カマシ木』が挟まれることがなかっただけのことである。ポイント清掃を行う社員も、慣例的に列車が隣の駅を出発する『この時刻』までに必ず作業が終わるようにしていた、とのことであった。今回たまたま作業開始時間がいつもより遅れ、作業終了が『いつもの時間』より遅れたため、このような事故が発生したものと考えられる。
現場調査等を踏まえ、今後ポイント清掃作業を行う場合は、「作業終了時刻は列車間合い終了の時刻ではなく、○○時○○分までに作業を終了すること」とした。
ポイント清掃に伴う運転事故、傷害事故は「繰り返し」発生し、その都度対策と指導がなされてきていたにもかかわらず、現場ではこのように「双方の取扱が明確でないまま」作業が続けられてきたものであり、“事故が発生して初めて知った”というお粗末さであった。


