2003年08月04日
論文 3.なぜ同種事故が繰り返し発生するのか? その要因
◆事故調査、問題点の洗い出し― 事故を真摯に受け止め、原因を正しく掴み、問題点を顕在化させること―
(1)“事故はできれば表沙汰にしたくない”という本質的なものがあるため「この程度の事故・トラブルは良くあること!」「たいしたことじゃない!報告するまでのことではない!」と、軽く流してしまう傾向がある。発生した事実(現象)だけで、「この事故が重大であるかどうか?」は分からないことが多く、またそれを簡単に判断してはならない。間一髪のところで危うく大事故を免れることはよくあることであるが、決して「運が良かった!」だけで済まされるものではない。
なお現場で発生したトラブル等は、すぐさま上層部に情報が入っていなければならず、また「事故は芽のうちに摘み取る、そして事故そのものを根絶させる」という企業体質・風土が出来上がっていなければならない。
(2) 事故が発生した場合の調査は、ややもすると「事故の責任がどちらにあるか?」から始める傾向がある。このため、最初に「自分の方には原因が無い!」と思い込んだ場合などは、事故の実態把握がおろそかになり、調査が十分になされないことが多い。
また、発注者と元請、元請と下請、施設と電気といった他系統間など、いわゆる「ハザマ」で起こる事故がかなり多い。作業区分が明確なものについてはそれぞれが責任を持って作業するが、いわゆる「三遊間に飛んだボールを誰が取るか?」について双方の取り決めがはっきりしていないまま作業が行われ、事故が発生して初めてこの事実が分かることがある。
「責任がどこにあるか?」は、正しく実態把握がされてから後に判断がなされるものである。このため、どんな小さなことでも、現地を見て、現物で、現状に即して、事故を究明することが大切である。もちろん、事故担当責任者が現場にも行かず、現地からの報告のみで判断するというような事があってはならない。
(3) 事故は複合的に発生することがほとんどであるため、原因については、直接的な原因だけではなく、背後要因まで調べることが必要である。家庭の事情や健康状態などの個人的なものや、管理体制や施工体制などの組織上の問題点まで突っ込んだ事実解明が必要である。「いつもはキチンとやっているのですが、“たまたま今回に限って”いつもと違うやり方をして事故を起こしてしまいました」という言い訳を良く聞くことがある。普段しっかりやっているのに、またしっかりやれる知識・技能を持っているのに、「なぜ今回に限って出来なかったか?」の見極めをしっかり行うことが必要であろう。
(4) とにかく、現場を調べてみると、事故と関係あるものやそれ以外のいろいろな事柄が浮き彫りになってくる。現場で大変な苦労をしているにもかかわらず改善がされずそのまま手をつけられていないこと、誰からも教えてもらったこともなく今までの慣例で「知らないままに長年作業を続けていた」こと等々。普段から現場実態をつぶさに把握しておくことは当然のことであるにもかかわらず、現実はなかなかそうなっていない。「事故発生時こそ、現場のあらゆる問題点を明らかにすることができ、一挙にこれらを改善できる絶好のチャンスである。」と考えている。


