2003年08月02日
論文 5.対策の実施
― 情報を正しく、分かりやすく現場等にどう伝え、その対策をいかに実行させるか?―
(1) 最後に皆で決めた対策をいかに実行するか?であるが、これがなかなか難しい。ある会社の幹部から、「対策は愚直に、地道に、徹底的に!」ということを聞いたことがあるが、まさにそのとおりであり、対策が定着するまでしつこいくらいにやらないと徹底できないものである。もちろん現場でこれらの対策が実施されているかどうかの確認も怠ってはならない。
(2) 事故再発防止に「他山の石」という言葉が良く使われる。他箇所で起こった事例を自分の職場に当てはめて、「同じような事象はないか?」「自分たちならこうする」ということを一緒に考えるというものである。そのためには、いかに分かりやすく伝えるか?が大切である。しかし一般的には、「このようなことがあったから注意するように!」というだけで、あまり事故の本質が伝わらないことが多い。
かなり前のことであるが、「事故防止会議といえば、“またか?”と気が滅入りますよ! 資料は文字ばかりが並んでいて事故の内容も理解しづらく、事故原因の本質などはとても分かるはずがありません。あげくの果ての結論は、“ルールどおりしっかりやれ!”で終わりですからね。」という声を聞いたことがあった。このためパソコンとプロジェクターを両肩にぶら下げて各現場を回り、写真等を多く取り入れたパワーポイントを使って直接現場社員に事故例を説明したところ、会議終了後出席者の一人が、「事故の内容や原因なども分かりやすかったですよ!これからは事故防止について、前向きに捉えられるような気持になりました!」と言ってくれ、大変嬉しく思ったことがある。
(3) 個々人に合った指導方法や言葉を用いて行うこと。統計的に見ても、新人の起こす事故と、ベテランが起こす事故の件数はあまり変わりがない、といわれている。新人は知識や経験が十分でないため、キチンと指導すれば良いのだが、ベテランを指導するのはもっと厄介である。自分は○十年のベテランだという「自負心」、ルールどおりにやらないいわゆる「横着・過信・独断作業」等、しかしこれを見て見ぬ振りするのが最も良くない。「指示に従わない者はその現場から退場をさせる」くらいの強い信念で望まなければ、事故防止が図れる訳が無い。
(4) 「事故は起こさないぞ!」という、現場社員からの沸き上がるような事故防止活動であって欲しいものである。現場での指導・教育方針は①「分かる(理解する)」②「出来る(能力はある)」だけでは十分でなく③「やる(実行する)」ことが最も重要である。正にこの「実行する」ことが大事であって、それも人から言われてではなく「自ら進んで」でなければならない。
前述の事故について当該現場の社員が、「あの事故の後、事故以外のことも含めて職場で皆がいろいろ意見を出し合い、『ああしたらどうか、こうした方が良い・・・』と十分話し合いました。ご迷惑をおかけしましたが、これからは我々に任せて下さい、もう二度とこのような事故は起こしませんから!」という力強い言葉を聞くことができ、大変頼もしい限りであった。


