保線

2000年08月09日

・ここでは、橋梁改良工事や法面防護などの防災工事を主に行っているところである。
・設計者としての位置付けで、工事の設計・積算をするのが主な業務である。先輩の指導を受けながら設計積算を行うのであるが、実際の工事がどのように行われているかを経験していない自分にとっては、どうしても、実際は重要な、仮設物や、安全対策の面などの業務を積み上げることが少ないため、適正価格よりも少ない金額(=安い)になってしまうことが多い。
 ※安いということは、工事業者にとっては厳しい工事になる。
当時は、OBである工事業者も出入りしており、この単価で入札を受けた業者から、「この工事は大変な赤字で困ってますわ!」とあてつけを言われることもある。
・入札したということは、自分でやりますと宣言しているはずである。私は「そんなこと言ったって、その価格で受注されたのでしょう?」と言いたかったが、そうも言えず、もっと現場を良く知らなければ・・・と痛感した次第である。

・ 当然のことながら、設計にかかる前には現場調査を行うことになる。橋梁改良の現場測量に行った時、列車が通過するのを線路際に待避している時、突然列車から水しぶきと共に臭いを伴うものが頭から降りかかってくる。

なんとそれは列車からの垂れ流し便所から流れ出したもの。

えらい洗礼を受けたものである。当時の旅客列車のほとんどは垂れ流し、線路で働く者にとっては、きつい、汚い、危険など3Kどころの騒ぎではない、まことに厳しい職場であった。JRになった現在では、垂れ流し便所はほとんどなくなったと聞く。



Copyright(C)2009 www.鉄道員.com この記事コメント(0)トラックバック(0) この記事をクリップ!

2000年08月08日

・F駅構内を流れる川の河川改修計画に合わせ、国鉄の鉄道橋梁を全面改修することになり、この工事の設計は工事二課設計係の私が担当することになった。ほぼ設計が完了し、本工事が開始されていた工事中盤から、今度は、現場の工事監督としての助役の発令を受け、自分が設計した工事の現場を任されることになった。弱冠28歳。机の上で考えていることと、現場の実態が相当かけ離れているという事を痛感する。

・ 工事施行が「潜函工法」と呼ばれ、管理局発注工事としては極めてまれな工法であり、専門業者の知識・技術・経験に頼らざるを得ない状況であった。


橋の工事

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


・ 鉄道が走っている橋梁の下で野工事であり、作業員の傷害事故防止は当然のことであるが、大勢のお客様を運んでいる「列車の安全・安定輸送の確保」に全神経を払わなければならない。これが在来線の工事での最大のポイントである。

橋の下

 

 

 

 

 

 


・ 新しい橋台・橋脚が出来上がり、いよいよ橋桁交換である。もちろん列車を走らせながらではあるが、「線路閉鎖工事」で列車ダイヤを変更するなどしてその工事に必要な時間は確保。通常橋桁交換は、工事用サンドル(仮設足場)を組み、当該線からの縦送り、または隣接線からの横取り工法が主であるが、ここでは、当該線だけを使っての橋桁交換専用の「操縦車」を使用することになった。工事足場もほとんど必要としないこの工法、国鉄が誇る「特殊部隊」であり、全国での運用がなされている。かなり日数にわたっての大工事であったが、事故もなく無事完了。見違えるような新しい鉄道橋が完成した。

線路工事



Copyright(C)2009 www.鉄道員.com この記事コメント(0)トラックバック(0) この記事をクリップ!

2000年08月07日

・ 橋梁改良の工事現場からほぼ近い、同じ東海道線の線路下を用水管が横断する工事もほぼ同じ時期に施工され、この工事も自分が管理局で発注し、同じように現場監督も行った。

・ この工法は、「フロンテジャッキング工法」と呼ばれるもので、線路の両サイドにコンクリートの躯体を製作し、お互いの躯体を鋼線で結び、線路下の土砂を取り除きつつジャッキ少しずつ牽引して掘り進む工法で、まだ施工実績はそれほど多くない時代であった。

kouji

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

kouji2

 

 

 

 

 

 

 

・ 工事がかなり進んでいたある朝、「助役さん、まもなく両躯体がドッキングしそうですので、早めに現場に来てください!」との電話。躯体が通っているその現場の線路上で、私と国鉄監督者、そして施工業者の20歳の工事監督者の3人が「このあたりでまもなくドッキングするんだね!」と話していたところ、「ワアーッ!」という声がして振り向くと、なんとこの青年の姿が突然見えなくなった。かろうじて彼のヘルメットが見える状態で、ちょうどあり地獄のような穴が開いているではないか。

・ 上にいる二人は、なぜこんなことが起こったのかにわかには信じられなかったが、部下の監督者には、まず列車を停止する手配を取るべく、駅に走っていってもらう。自分は彼の救出をまず考えなければならず、線路下で作業している人たちには下から土砂を取り除いてもらい、線路上からははしごを使って彼のわき腹にロープを通し漸く引き上げるまでの時間が35分。地上に引き上げた時、「ブワーッ」と口の中に入った土と共に、息を吹き返してくれ、「助かった!」と皆にほっとした空気が漂う。救急車で近くの病院に搬送できて一安心。あり地獄の穴は土砂で埋め戻し、遅れていた列車を通過させる。

・ この頃には、警察・報道関係者はじめ管理局工事課長らが大勢現場に集まってきて、その対応に大慌て。「この事故の原因は何ですか?」と、するどい質問があちこちから出る。「原因はこれから調査します!」というのが精一杯。後始末にはかなりの時間が必要であった。

・ さらに運が良かったのは、もし彼が一人で現場立会し、このあり地獄に落ち込み、ヘルメットも何も見えない状態であれば、慌てて土砂でその穴を生め、列車を通していたかもしれない。後で「彼がいない!」と大騒ぎするような大変な事態を免れることが出来たことは、本当に良かった。

・ もう35~36年前の随分古い話となってしまったが、その彼との運命的な出会いが、その後別の会社に入社した時、彼は現場の作業所長として元気に張り切ってくれていた。「これで長生きできるよ!」と冗談話が出来るようにはなったが、お互いの胸の中に深く刻まれた苦い思い出であった。でも、「本当に彼が生きてくれて良かった!」と、今でもあの時のことを鮮明に思い出すことがある。

・ 実はこの工事現場は、若干礫交じりの盛土で、施設部長が「この土質でフロンテジャッキ工法は大丈夫か?」という質問があった。その時の工事課長が、薬液注入で地盤をしっかり固めてから工事を慎重に行います! 現場監督は彼(私のこと)のやらせますからご安心を!」と胸を張った経緯があった。

・ もちろん現場ではこの工法のことは十分検討し、慎重に行ってきたのではあるが、掘削途中の盛土内に、想定外(?)の転石がかなり含まれており、この石を取り除かないとジャッキで引っ張りきれず、やむなく先掘り(躯体より先まで土砂を取り除くこと)を余儀なくされ、掘削・牽引に相当苦労してきたこと。そしてまもなく両躯体がドッキングするということで、両躯体間にある盛土のアーチアクションのバランスが耐え切れなくなって、急遽崩壊したのではないかと推定される。

・ この事故は、「特の注意を要する事故」と銘打って、国鉄本社施設局から、全国の工事関係者に通知された。さらに、この事故の対策として、線路防護をし、険路下にもし土砂が崩れ落ちるようなことがあっても、列車を安全に通すことが出来るようにすることになった。高い授業料を払ったことになるが、この苦い経験が、その後のより安全な工法に検討が加えられたことは、喜ばしいことである。



Copyright(C)2009 www.鉄道員.com この記事コメント(0)トラックバック(0) この記事をクリップ!

2000年08月06日

【スト権スト】
・ 昭和46年10月、国鉄総裁が不当労働行為について国会で陳謝、これにより大々的進めてきた「生産性向上運動」が完全に頓挫、国鉄当局が組合に頭を下げることになり、組合の力はますます強く、激しい組合活動が行われるようになった。国鉄職員は、こう公共企業体等労働関係法によりストライキが禁止されているが、組合はスト権を獲得するためストライキを決行、1975年11月25日から8日間の国鉄の全列車がストップした。「国鉄が止まれば日本経済が大混乱する」という神話は崩れ、経済的混乱はそれほど大きくなかったのである。

・このストの損害を国鉄当局が国労・動労の両組合に損害賠償を求めたのが、「202億円損害賠償請求訴訟である。この頃から、国労・動労の誇っていた力が徐々に落ち始め、没落の兆候が見えるようになったと感じる。

Copyright(C)2009 www.鉄道員.com この記事コメント(0)トラックバック(0) この記事をクリップ!

2000年08月05日

Q:踏切事故が報道されることがあるが、踏み切りの種類は?
A:(1) 1種踏切:遮断機、警報機の付いている踏切
  (2) 2種踏切:警報機の付いている踏切
   (3) 4種踏切:1種、3種以外の踏切で踏切警標
または踏切注意柵が設けられている踏切

Q:踏切で自動車がエンストした時はどうすれば良い?
A:踏切の近くに設置されている非常ボタンを押すと、
列車に異常を知らせ、列車が急停車する
fumikiri

Copyright(C)2009 www.鉄道員.com この記事コメント(0)トラックバック(0) この記事をクリップ!

2000年07月23日

・鉄道の施設を保守管理する施設部門には、線路の保守管理を行う「保線部門」と、線路を支える施設構造物(橋梁。法面など)の保守管理を行う「工事部門」ある。一概に施設関係といっても「保線部門」と「工事部門」では大違い。今まで、どちらかといえば、管理局の工事畑を歩んできた。

・今回初めての保線職場、それも70名近い職員を抱える保線支区長、立派な現場長である。しかし、先ず保線にまつわる言葉がわからない。そこへさらに強い組合の分会長が毎朝の点呼で、「支区長!こんな話があるか知っているか!」と鋭い質問。こちらは当然知らされてもおらず、答えはしどろもどろ。

こんなこと続く毎日、遂には今で言う「うつ病」にかかったような状態となってしまった。母親までが女房に「息子は大丈夫か?」と聞かれる始末。
ここを何とか切り抜けないと!と思いつつ徐々にではあるが、部下の助役さんや、ベテランの技術係の協力を得ながら、少しずつではあるが、保線の職場に馴染んで行くことができるようになった。

Copyright(C)2009 www.鉄道員.com この記事コメント(0)トラックバック(0) この記事をクリップ!

2000年07月22日


・お客様の安全を守ることは第一であるが、線路で働く人にとっても、身の安全を守ることは最も大事なことである。このため、今まで何回かあった触車事故防止(作業員が列車に撥ねられ死亡または怪我すること)には十分な対策が取られている。
たとえば、
①線路には無断で又は単独では入らない。
②必ず列車見張りを配置し、列車が来ないことを確認してから線路に立ち入る。
③その列車見張員は、列車見張りに専念し作業に巻き込まれることがないこと。
④線路内を歩くときは列車に来る方に向かって歩き\くことなどが決められている。

・ある日、私は作業員と一緒に現場に行き、まだ列車が来るには時間が若干あるということで技術係と一緒に線路内に入り、それも列車に背を向けて、これから修繕する箇所のことについて話していた。
突然「アッ、支区長危なぁーい!」
と年配のベテラン職員から大声が届く。
あわてて二人は線路外の逃げることが出来たが、間一髪、列車は警笛を吹き流しながら通過して行った。この指導監督すべき支区長がこの体たらく。このベテラン職員の掛け声がなかったらどうなっていたか?危うく命をさせてもらった。深い自己反省とともに、感謝感謝の気持ちで一杯であった。



Copyright(C)2009 www.鉄道員.com この記事コメント(0)トラックバック(0) この記事をクリップ!

2000年07月20日

・どうしてこれだけ工事になると雨が降るのだろうか?数100mのロングレール交換となれば、他保線区からのたくさんの助勤者を受け入れ、電気関係者を含めれば、大変な数の人たちが工事現場にむらがる。

takuma6■用語解説 ロングレールとは?
長さ200m以上のレールを「ロングレール」と呼ぶ。25mレールが敷設してあるところは「定尺区間」と呼ぶ。

天気の良い日に比べれば、比較のしようがないほど作業がしづらく、また安全性にも大変な気をつけなければならない。

・またレールは温度差によって伸び縮みすることは知られているが、レール温度を低く設定すれば夏の温度上昇には安全だが冬の低い温度ではレールが折れる(破断)してしまう。逆に高い温度で設定すれば、その逆で夏の高温に堪え切れず、レールがグニャリと曲がってしまう「レール張り出し」が発生する。
このロングレールの「設定温度」は大変重要な事項で、夏冬の最高と最低温度からレールの温度を考慮して決めることになっている。その設定温度より高ければレールに散水をする。低ければ藁縄を灯油に浸して置き、それをレール底部の両側に並べて点火、その温度近くになったら火を消すという原始的な方法を取っている。レール温度が設定温度に近い時期は限られており、やむなく冬の時期にも計画しなければならない。雨が降れば当然レール温度は下がる。それに冬の時期、用意した油縄に火がつかないほどの雨、結局その日は伸縮継目で調節をして置き、後日「ロングレールの設定替え」(レール温度を設定温度に近づける作業)という工事をする羽目になってしまう。

・最初のうちは、「今度来た支区長は雨男で困ったものだな!」という声が聞こえていたがそのうち諦めてくれたのか、
「また今度も雨ですか?」
「矢代亜紀が歌っていた『雨の慕情』の雨雨降れ降れもっと降れ!ですね!」
と冷やかされる始末。すっかり雨男にされてしまった。
これでも工事の朝は必ず稲沢国府宮さんにお参りをし、工事の無事と作業員の安全を夫婦で御祈りして来ているが、神様の気まぐれ、晴れる日も多かったが、やはり雨の日が多かったのは事実である
。しかし、この当時東海道線の重軌条化工事(1m当たり50kgのレールを60kgレールに交換すること)の全盛期、何本のロングレールや幾組の分岐器交換の工事を施工したが、事故もなく無事完成できたのはラッキーであったというよりも関係者一丸となった協力のおかげである。御苦労さま!



Copyright(C)2009 www.鉄道員.com この記事コメント(0)トラックバック(0) この記事をクリップ!

2000年07月15日

・保線職場でのもう一つの悩みは人身事故、すなわち世を儚んでの列車への「飛び込み事故」である。ご本人にはもちろんどうしようもない悩みの末の出来事であろう。夜中に電話がかかってくるのは、ほとんどがこのような時である。寝ている助役さんを起こして、二人で現場に駆け付ける。

・まだ生きているような穏やかな顔のまま線路脇に横になっている姿に、思わず手を合わせ深々と頭を下げる。このような時はまだしも、見るも無残にかなりの区間にわたって肉片が飛び散っている時もある。列車運転士は、遺体を列車から離れた線路脇に安置し、列車が動けるかの確認した後、保線関係者に後事を依頼して出発。我々は警察関係者や救急車の来るのを待って、その処置が終わってようやく現場から離れることができる。

・ある時は、夜中に人身事故があったその翌日がロングレール交換の閉鎖工事、組合の強いこの当時はレールを洗い流す作業もみな管理者、かなりの区間を助役さんと二人で水を流して漸くその日の工事には支障がないようにしなければならないような状況であった。



Copyright(C)2009 www.鉄道員.com この記事コメント(0)トラックバック(0) この記事をクリップ!
質問 新幹線、座るなら?
A(3人掛け窓側)
B(3人掛け真ん中)
C(3人掛け通路側)
D(2人掛け通路側)
E(2人掛け窓側)
登場人物紹介
・鉄道員
鉄道一筋の鉄道員。鉄道には本当にお世話になりました。大変感謝しております。



詳細プロフィール

・のぞみ
鉄道好きの女の子。鉄道のことは良く分かりませんが、鉄道が大好き。特に新幹線は大好きです。

ご意見をお待ちしています
ご意見をお待ちしております。
「こんなことを教えてほしい」「これはどうなっているの?」「こんな情報もあります」というようなご意見があれば、コメントに記載をお願いします。皆様の貴重なご意見により、さらに分かりやすいサイトにしていきます。
このサイトが本になりました
タイトル:鉄道員に魅せられて
著者:粕渕輝雄